様々なデバイスに基づくニューロモルフィック回路の実装と、その情報処理応用の可能性を調査することを目的とします。令和5年(2023年)11月より2年間活動し、本調査専門委員会の調査によって得られた成果は、論文誌特集号としてまとめる予定です。
背景
生体の情報処理を模倣することで、従来のノイマン型コンピューティングが苦手とする処理を高速かつ高効率に行おうとするニューロモルフィックシステムの研究は古くからなされてきました。近年、半導体CMOSディジタル回路の性能向上の限界が近いことからも、さまざまな素子を用いてニューロモルフィックシステムを回路化する研究が盛んになってきています。しかしニューロモルフィック回路のハードウェア化の研究は使用する素子によって個別に研究されており、ニューロモルフィック回路という切り口で総合的に研究されてはいないのが現状です。これまで他学会でも同様な調査研究活動はありませんでした。本調査活動では、半導体、超伝導体、磁性体などの様々な素子によるニューロモルフィック回路の研究を総合的に調査します。
調査検討事項
- 超電導素子であるジョセフソン接合を用いたニューロモルフィック回路研究の現状調査
- 超電導素子による光子検出器を用いたニューロモルフィック回路研究の現状調査
- 半導体CMOS 回路によるニューロモルフィック回路研究の現状調査
- ニューロモルフィック回路の応用に関する現状調査
- ニューロモルフィック回路に適した材料研究の現状調査
予想される効果
- 回路を構成する素子の特徴が明らかになり、それぞれの素子が適する応用を明確にできます。
- ディジタル回路に比べたニューロモルフィック回路の優位性を明らかにし、応用分野に関する議論ができるようになります。